不便を楽しむ庭づくりと余白の美しさ

怒涛の4月…完全にブログの更新を怠ってしまい激しく反省。お伝えしたいことや書きたいことは山ほどあるのに、時間と自分の動作が追い付かないジレンマの沼にまんまとドはまりしてしまいました。←言い訳

ここ数ヶ月、来年完成予定のご新築の外構デザインの打合せに入っているのですが、デザインを考えたりお客さまとイメージをディスカッションする時間が新しい気付きの連続でめちゃくちゃ刺激を受けてます!

それというのも、お客さまが今回家を建てるにあたって最も大切に考えていることは、自分たちがそこで『暮らす』イメージがどれだけ湧くかということ。

ブログ 庭の余白

効率や機能性が重視されがちな現代の暮らしの中で、動線を意識しいかに手間なく便利に生活を回していくかを考え抜いた住まいではなく、在るべきところに有るものを受容し自分たちがそれに沿って暮らす。

あえて“手間”や“時間”をかけることの豊かさを楽しい・嬉しい・幸せと感じることができる、そんな『家』をイメージされていると聞いて、とても深く共感しました。

そこで、今日は(あくまでも人間にとって)便利になりすぎた現代の中で、人が不便と感じるコトやモノの必要性やそれらをあえて楽しむための豆知識を綴っていきます。

目次

効率と機能性が重視される時代

家も外構においても、当たり前のように求められることが増えてきたように感じる“便利さ”。スイッチひとつで灯る照明や自動で開く門扉、手を汚さず管理が楽な植木など。

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共働きのご家庭も多い今の時代には、当然必要とされる【機能性】【効率】に繋がるとても重要な条件でもありますよね。有限である時間をいかに無駄なく過ごすか…を考えることは当然かつ大切なことです!

その反面、人生という大きく長い時間の流れを俯瞰で考えたとき、照明のスイッチを押す行動や門扉を開けるための労力、庭木を手入れする時間はごくごくほんの僅かな動作のひとつにすぎません。

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自分や家族の日々の行動パターンが、一挙手一投足1mmの狂いもなく毎日繰り返されるのなら、動線を意識した間取りや設備の配置、外構計画も有効であると言えるかもしれません

でも、私たちの生活は毎日少しづつ形を変え変化しながら進んで行くし、いつなにが起こってもおかしくない世界に存在しているのが現実。

“手間”“時間”をかけることを無駄だと捉えるか、豊かだと感じるか、人それぞれに主観は異なると思いますが、これを機に自分自身が人生の中で『暮らし』に求めているいちばん大切なことを考えてみるのもいいのかもしれません。

”不便”は心を整える

すべてが便利で快適であることは、生活を円滑に回すことに繋がり、時間を有効利用できるというメリットがありますよね。ですが、何ごともスムーズであるということが、私たちの心を満たしてくれることに繋がっているのか…

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私自身は日常の中で、ふと立ち止まる時間や思わず手をかけてしまう瞬間にこそ、本当の豊かさが潜んでいるのではないかと思っていて、実際にそんな風に感じることが沢山あります。

たとえば、石が少し不揃いな小道。歩きやすさでいえば、真っ直ぐでフラットな道のほうが安全で歩きやすい。けれど、その不揃いな石畳の小道を通る時、足元に意識が向き一歩一歩丁寧に歩みを進める自分がいます。

そして、足元に設えられた風合いのある石畳が目に入り、ふと目と心が癒されて忙しなかった心の速度が自然とゆるまるように感じたりします。

また、最近では落葉や近隣への配慮から求められることが著しく減ってしまった植栽ですが、これもまた手入れや管理に手間はかかるものの、心穏やかに日々を彩ってくれる存在のひとつです。

庭に落ちた葉っぱを、地道にホウキ掃いて集める時間。自動ブロワーで掃除する方法なら時間も随分短縮できますが、時間と労力を使いながら、手で集めて掃除することによって見えてくるものや感じることが沢山あります。


「紅葉したのは、この木だったんだなぁ」
「去年より少し落ち葉が多い気がする」

億劫になりがちな落葉の掃除も、家族で一緒に行うとそんな気付きや会話を交わす時間へと繋がり、家族の思い出になる記憶の一片になり得るかもしれません。

庭に「余白」の美しさをもたせる

暮らしにおける「余白」とは、ただ物理的な空きスペースをつくることに限ったことではありません。予定のない時間、完璧でない形、効率を求めすぎない関係性──


暮らしに「余白」をつくることで、心に余裕を生み個々が思考を巡らせる時間ができたり、無駄な時間を思う存分楽しんだりしながら、日々の営みに深みを与えてくれるものとなるのではないかと考えています。

そしてそれは、外構や庭のデザインにも通じるところがあり、生活するうえで”邪魔”に感じてしまう手間を、すべて排除するように土の部分を残さず舗装したり、植物を一切取り入れないデザインに傾倒するのではなく

所々に残した土の部分に蔓延る雑草の生命力を楽しむ

落葉の掃除の手間はあるけれど夏の日差しを遮る木陰をつくる

など、“整いすぎていない”美しさを庭に宿すこともまた、日々の営みに新たな喜びをもたらしてくれるキッカケになるかもしれません。

人と自然が共存する庭

今回の携わる案件の打合せの中で、お客さまがふと口にした言葉がとても意味深く印象的でした↓↓↓

「家を建てると決めてずっと自分たち主体で考えていたけど、よく考えたら元々ある自然の中に自分たちが割って入っていって、しかもそこに人工的なものを造るわけだから、どちらかというと自然にとって私たちが邪魔な存在ですよね」

だからこそ、周囲の自然な風景を乱さない・邪魔をしない・溶け込む『住まい』にしたい!という思いを伺うことができました。

ただ“便利な庭”ではなく、そこに住む人のリズムと自然の変化が静かに重なり合うような、そんな庭づくりとなるように取り組みたいと思っています。

不便さを楽しむ心の余裕
余白を愛でる家族の眼差し

それは、庭づくりの中にあるほんの小さな哲学であり、きっとその小さな選択の積み重ねが、暮らしに大きな彩りをもたらしてくれるんだろうな…と、改めて外構や庭づくりに対する概念を考えさせられる時間となりました。

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近頃、小麦粉を米粉に変えて料理やお菓子に活用しています!育ちがジャンキーなので「グルテンフリー!」とか「添加物反対!」みたいな思考は一切ありませんが、歳のせいかとにかく体がダルい!!(涙

自分の身体のことだから、まずは自分自身が向き合って食事や日々の生活の改善を図ってみる。こういうことも、時間や心に「余白」を持っていないとできないことかもしれませんね☺

ビジュアルはともかく米粉のパンケーキは、初めてにしてはなかなかの出来でした。まぁ、バターとメイプルシロップじゃぶじゃぶかければ(←こういうのじゃぶじゃぶかけるとこがジャンキー)そんなに不味いものにはなりませんけどね…

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